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アップル・ニュートン()は、世界初の個人用携帯情報端末 (PDA) 。アップルコンピュータ社により開発され、1992年1月に開催されたCESにて、当時のCEOジョン・スカリーがPDAの定義と共に発表、1993年から1998年にかけて販売された。ARMプロセッサを用い、手書き認識機能を備えた。アップルコンピュータはこの装置に「メッセージパッド (''MessagePad'') 」という正式名称をつけていたが、この装置のオペレーティングシステムの名称であった「ニュートン」が、この装置と内蔵ソフトウェアを示す名称として世間では用いられていた。 == 概要 == ニュートンは主に次の二つの理由で商業的には失敗したと言える。一つは高価であった(2000型および2100型は1000ドル近くした)ことと、もう一つは大き過ぎた(標準的なコート、シャツ、パンツなどのポケットに収まる大きさではなかった)ことである。また評論家はその手書き認識についても酷評した。これらの初期の問題により、ニュートンは世間一般からは名声を得ることができず、またPDA市場自体もPalm社が「Palm Pilot」を製品化するまでの間ニッチ市場のままであった。Palm Pilotは、小さく、薄く、(直感的ではないが)信頼性の高い''Graffiti''という手書き入力システムを備えており、ニュートンの商業的失敗を克服してPDA市場を育てることができた。 ニュートンは手書き入力を謳い文句にしていたが、初期の頃は非常に不正確な認識しかできなかった。手書き認識システムは、ロシアのパラグラフ・インターナショナル社がライセンス供与した''Calligrapher''と呼ばれるエンジンを用いていた。ニュートンは利用者が書く文字を学習し、データベースを用いて利用者が次に何を書こうとしているかを推測した(この学習を前提とする設計ゆえに店頭デモではいっそう認識率が低く、ニュートン不振の一因となったといわれている)。また画面上のどこに書き込んでもよかった。これは後のPalm Pilotでは、利用者が新しい表記方法を覚えて、決まった場所に一文字ずつ書き込まなければいけないのと比べると、実に洗練されたシステムであった。ニュートンは、三角や丸や四角といった単純な図形を認識してきれいに書き直してくれたり、引っ掻く動作で単語を消したり、文章を丸で囲むことで選択したり、簡単な記号を書くことで文章の入力位置を指定できるなど、直感的な手書き入力環境を提供していた。 その後、ニュートンはこの手書き認識システムを互換性のために装備し続けたものの、新たにコードネーム''Rosetta''と呼ばれる活字体文字認識システムを搭載した。Rosettaはアップル社が開発し、ニュートンオペレーテングシステムのバージョン2.0に搭載され、2.1で改良された。このバージョン2.1でRosettaは飛躍的に進歩し、他のどの手書き認識システムよりも優れているといわれるに至った。1998年にアップルがニュートンの開発をやめるまでの間に、手書き認識技術は大きく進化し、一般に用いられるものの中では最高の「真の手書き認識」であるとされるまでになった(Graffitiのような入力方法は「手書き認識もどき」であるとされる)。ニュートンが現在に至るまで熱狂的なファンを獲得し続けているゆえんの一つはここにあるだろう。 "1+2="などの手書き文字を認識して縦横に計算をするシステムも開発中であったが、主要な技術者が去ってしまったために実現には至らなかった。 ハードウェアもソフトウェアももう過去のものになったにもかかわらず、ニュートンは中古市場において他社のPDA製品よりも高値がついている。2004年現在、古いハードウェアであるニュートン2000型や2100型は、周辺機器無しで100ドル以上で販売されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アップル・ニュートン」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Newton (platform) 」があります。 スポンサード リンク
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